君と、奏で〜せぶいれのうた後記

 

せぶいれのうたが終わってからもう一週間以上経つ。

超特急は個人の活動も活発な上に、初となるEPの発売、春のホールツアーも控えており、連日新しい情報の供給がある。誰もが前に進んでいるように見える。

私は取り残されている。いつまでもせぶいれの事を考えている。

初乗車の2日後にブログを一気に書いた。忘れてしまう前に書いてしまおうと思ったのだ。

その後で考えたり忘れたり思い出したりした事を、今の気持ちを記録したい。

 

手元に撮影可だった“refrain"の動画がある。唯一の映像記録だ(ちょっと大げさ)。動画は夫のスマホで私が撮影した。私のスマホに画像を送ってもらったのは2日後。ライブの直後にすぐに見返すことができなかった。SNSに投稿するためには編集が必要で、何度も繰り返し見た。一階席の一番後ろ。アリーナの規模を考えるとホールはステージとの距離が近い。当日もやっぱり思っていたよりステージが近いと思った。

YouTubeでプレミア配信された時と同じジャズのアレンジ。YouTubeの撮影の時は何テイク撮ったのか知らないが、なんというか「完璧にラフ」という感じ。衣装やカメラワークも含めて一つの作品だった。

ライブは一期一会だ。

この日の“refrain"はすごく生っぽかった。目を合わせるタイミングも動きもきっと打ち合わせなしだ。まさにセッション。衣装もグッズのロンTを着てる。シューくんはボトムスもジャージみたいに見えたけど、タカシくんは本編の王子様みたいな衣装の上にロンTをすっぽり被って可愛かった。

撮影に集中していて、ちゃんと見ないと後で後悔すると思った。でもどうしても録画したかった。思い出を持ちたかった。

スマホの動画を見てみると、モニターがあるのでそれぞれの表情はちゃんと見えるがステージの上の2人の姿はすごく小さい。レンズが一つだけの小さなスマホで目一杯ズームにして撮っているので画像が粗い。音は思っていたより綺麗に録れていた。

改めて見返してみると、シューくんの楽しそうな表情やクールな表情やちょっとワイルドなタカシくんや…。あの日の私の席からは遠かった場面が記録されている。シューくんのフェイクや唸り(がなり、と言われているようですが、私はずっと唸りと呼んでいたので唸りでいきます)、2人が交互に主旋律を歌っているところ。

Bメロで2人の声が重なり合うのが好きだ。タカシくんのファルセットも美しいし、シューくんの低音も痺れる。お互いの声を聞いて自分の声を合わせる。歌で会話しているみたい。内側から湧き上がる気持ちを声に乗せて歌っているようだ。YouTubeの何倍もカッコいいし、何倍も心に迫ってくる。シューくんの唸りもファルセットも鳥肌が立ちそうなくらいカッコよかった。タカシくんがあんなに自由に歌ってるの初めて見たような気がする。

何回も見ているから今記憶しているのだ。でも。

今の正直な気持ちは、録画しないでちゃんと見れば良かった、と思っている。小さくしか見えなくても肉眼で表情が見えなくても。あの日あの席から見る「せぶいれのうた」は私ひとりのもので、その時じゃなければ感じられない感情がある。もう少し生の感動を味わいたかった。

それでも、何度も動画を見返している。そして、こう思うのだ。

ああ、小さいけど画像ちょっと粗いけど。

録画してよかった。

ファン心理って複雑です。

 

ライブが終わった後日、グッズの生写真についてシューくんが言った。

「月が写ってるように見えるのがあって、それが好きだ」(言葉は違います)

確かに、二人の間に光るライトが月のように見える写真がある。

シューくんは月みたい。"Thinking of You"を聴いた時そう思った。(シューくんは月、のお話はこちらの#2Thinking of You)

シューくんも月の事を考えたんだ。気持ちを共有できたような気がして、なんかちょっとだけ嬉しかった。

"refrain"の動画をスクショしたのを見てびっくりした。ステージの上に、シューくんの上に月が出ていた。

照明が、小さく光る月みたい。

シューくん、月が綺麗ですね。

 

 

ーアカペラで始まった。「君と、奏で」。私は今驚いている。聴いたことがなかった。9人以前の曲だと思っていた。B9に収録されているんですね。今知りました。私が購入したのは初回限定盤。通常盤に収録されている曲だ。知らない事まだまだたくさんあります。二人の声が美しく、聴き惚れてしまう。歌に力がある。二人とも声が厚みを増した。シューくんの声はより丸みを帯び艶やかに響く。タカシくんはより奥行きを増し、高音の透明度が増した。最後に8号車さんがlalala…と歌うのが素敵だった。私は知らなかったので一緒に歌えなかった。あとで聴いてみようと思う。ー

 

先だってアップした初乗車ブログの「君と、奏で」の部分である。

なんてあっさりしてるんだろう。と思う。ここに書いているように私はこの曲の事を全く認識していなかった。存在すら知らなかった。

今、それをものすごく後悔している。いろんな人に知らなかったんだからしょうがないよ、と慰めてもらった。それはそうなのだ。わかっている。でも自分の中で決着つけられていない。

今回のライブで聴いたことない曲はほかにもあった。私は8号車になって日も浅い。知らない曲だらけだ。私が超特急と出会った時、彼らは9人だった。私にとって超特急のボーカルはシューくんとタカシくんの2人だ。今回のライブで知らなかった曲もオリジナル音源を聴き直すつもりはない。知らない曲には知らない曲なりの向き合い方がある。

ブログを書く際にナタリーさんの記事のセトリのところと細かい進行のポイントだけ見た。(記事を読んでしまうと自分の考えが引っ張られるので避けた)

その時「君と、奏で」がB9に収録されている事を知った。

え?そんなはずない。だって私B9持ってるし。

調べてみて愕然とした。私が買ったのは初回限定盤。「君と、奏で」は通常盤に収録されている。そういえば、通常盤には一曲多く収録されてると書いてたかも…。

大げさな言い方をすればショックだった。ちゃんと調べればわかったことだ。事前に聴くことができた。最初からシューくんとタカシくんの歌だったなんて。

サブスクで再生してみた。歌詞が表示される。

「何万回だって口ずさもう」

タカシくんの声、今まで聴いた中で一番優しい声に聞こえた。タカシくんは嬉しかったんだと思う。シューくんが隣に座ってくれて。そばにいるよって言ってくれて。タカシくんがシューくんを愛しく思う気持ちが込められているようで胸を突かれた。

少し尖ったシューくんの声。聴き慣れたタカシくんの優しい声。

最後のlalala…で、一緒に歌えなかった事を思い出した。心臓がぎゅっと縮んだ。涙が溢れてくる。ライブ映像を観て泣いた事は何度もある。でも、歌を聴いてこんなに泣いたのは初めてかもしれない。

最後のウィスパーボイス。

happy days

and happy smile

…覚えてない。この曲だったのはわかる。飛べない鳥が出てきた。いい曲だなって思った。一番好きだったかもって思った。

でも全然覚えてない。

何度か繰り返し聴いて記憶を呼び出してみる。最初アカペラから始まったのは覚えてる。マイクを離して生の声に近いところから歌い出した。途中でlalalala…と会場から歌声が聴こえた。

音源を何度か聴くうちに少し違和感を感じた。

確かにこの曲だったと思う。でも、こんな感じだったっけ。

今聴いてる音源は多分別々に歌っている。レコーディングってそういう風にすることが多いし。実際どう歌ってるかはわからないけど。

2人は出会い、2人で、そしてみんなでこれから未来を奏でようという歌詞。

B9に収録されている時の歌は、2人は隣に並んで、少し距離があって。少し遠慮がちに一緒に歩き始めている。お互いの手が触れるか触れないかの距離感。

「せぶいれのうた」で聴いた時はもっと2人の距離は近かった。もっと近く寄り添う。お互いを支え合う。肩を組んで歩いている。声はもっと溶け合い、シンクロしていた。たくさんの涙と笑顔と痛みと葛藤を乗り越えて、2人は今ステージに立っている。初めて会った時より、もっとずっとお互いを想い合っている。

きっとあの曲は2人にとって、とても大切な曲で、あの日のライブの核となる部分だったのだ。だから強く訴えかける迫力があった。会場を飲み込むほどの力があった。

もう一度聴きたい。

今後もしかしたら配信とか円盤化とかがあるかもしれない。でも、あの日の「君と、奏で」はもう二度と生で聴くことはできない。そう思ってしまって悔いている。悔しくてたまらない。もっと深く歌を自分の中に取り入れたかった。歌は私の外側を滑り落ちてしまった。

思い出すだけで涙が滲んでくる。

 

大げさに言うとこんな感じのことをずっと考えている。

こうして後悔して、後で聴いて泣いて、もう一度聴きたいと想いを募らせる。

こんな事ぐずぐず考えてるの多分私だけだろう。でも、これも私だけの経験なのだ。

ライブは一期一会。

「君と、奏で」は私にとって特別な曲になった。

 

もう少し時間が経つと、また違う気持ちになるかもしれない。ずっと読まないようにしていた各メディアのライブレポもそろそろ読んでみようと思う。

今のこの爆発しそうな気持ちをどうしても書き残しておきたかった。

ここまでお読みいただきありがとうございました。

 

※本文を一部加筆・修正しています。

 

追記

数日経ち恐る恐る読み返してみました。あまりの重さに自分で自分に引いています。

でも、ここに書いた事で自分の中で少し整理できたのか、今はだいぶ落ち着いて「君と、奏で」を聴くことができるようになりました。

いつか何らかの形で、もう一度「せぶいれのうた」の時の「君と、奏で」を聴きたい。その時どう感じるのかが楽しみです。

 

追記の追記

「せぶいれのうた」から1ヶ月半経ち、超特急本体が大きく動き始め、毎日様々な供給があります。情報に溺れそうになる毎日です。

そんな中、時々思い出したように「君と、奏で」を聴きます。

やっぱり毎回泣いてしまう。今ブログを読み返すと、当時の記憶が蘇り、胸が苦しくなります。

なんでそんなに。そこまでの事?

自分でもそう思ってはいるんです。でも、聴くと必ず目の周りがぎゅっとつねられたように引き攣り、涙が滲んでくるのです。

シューくんとタカシくんが大切に紡いだ曲をするりと聴き流したことを悔いているのです。

 

明日4/17いよいよEP Justlike超特急の発売日。初回限定盤の特典映像として2023年8月8日のB9のライブ映像の円盤が封入されています。

アンコールのラストは「君と、奏で」

その日シューくんとタカシくんはどんな風に歌っているのでしょう。

9人でのパフォーマンスはどんな感じなのでしょう。

私は初めて観るのです。B9で観られると知った時からずっと頭の隅に引っかかっています。

実際観たら一歩この輪の外に出られるかな。それともますますあの日の「君と、奏で」に執着するのかな。

早く聴きたい。

でも、聴くのが怖い。だってきっとぼろぼろに泣くのがわかってる。

私の手元に初回限定盤が届き、開封できるのは日曜日。その日までもう少し、この痛みの余韻を引き摺りたいと思います。

…それにしても、重いですね。私。