初乗車しました~せぶいれのうた2024/2/28

 

乗車したい。

超特急沼に堕ちた日からの悲願である。

このたび初乗車が叶った。ただし、9人の超特急ではない。アコースティック超特急と題したボーカル二人だけのライブである。

初乗車がいきなり「せぶいれのうた」なんてどうしてなの?

前日、シューくんが不思議そうに言う。

なんで9人の超特急に乗車する前にせぶいれなの?

たまたま一番近い時期にライブがあって、たまたまチケットが取れたからだよ。

……なわけないじゃん。できることならシューくんに直接言いたい。

シューくんとタカシくんの歌が好きだからだよ。どうしても聴きたかったんだよ。どうしても会いに行きたかったんだよ。

私はまだ8号車になって日も浅く聴いたことのない曲が多い。今回のライブでも初めて聴く曲が何曲もあった。その日感じたそのままにレポしたい。

 

前日シューくんのキラリの配信をガチで見てしまい寝不足のまま当日を迎えた。遠征となるためこの日から連休を取る必要があり、この日までは仕事を詰め込んでいて、少し疲れていた。午前中は事務仕事をする夫を横目で見つつ準備する。すでに心ここにあらず。浮かれてXにポストを連投する。

昼過ぎに自宅を出発した。運休したらどうしよう、という余計な心配をよそに新幹線は無事に大宮駅に滑り込んだ。Xで普段やり取りさせていただいている8号車さんたちとご挨拶することになっていた。会ったこともなく顔も知らない方と待ち合わせをするのは初めてである。お互いの特徴や今いる場所をメールでやり取りしながら、なんとかお会いできた。私は極度の人見知りで初めて会う人とうまく話せない。夫にも、はじめましての時は笑顔でね、と釘を刺されていた。きっと顔がこわばっていたと思う。普段はものすごく訛っているので標準語で話すのも慣れていない。でも皆さん普段やり取りしている中で想像していたよりもずっと優しく、あまり緊張せず話せた。超特急という共通の言語があれば、こんなにスムーズにコミュニケーションが取れるんだな、と思った。ひとつ苦手を克服したような気がする。

皆さん本当にありがとうございました。

席は一階の最後列、ブロックの一番端だったので、ギリギリに席に着いた。今までライブといえばアリーナが通常運転だった。大宮ソニックシティホールは大きな会場だが、一番後ろでもステージがすごく近くに感じた。いろんな会場で最前列も最後列も座ったことがあるけれど、最後列は後ろの人の邪魔にならないように、を気にせず思い切り暴れられるので嫌いではない。

会場のBGMが超特急の曲なのが、なんだか不思議な気分だった。その時、そうか私は超特急のライブを観に来たんだなと実感が沸いた。場内アナウンスが始まる。さすがにリョウガくんではなかった。ちょっとだけ期待していたんだけど。

客電が少しずつ暗くなり音楽が少しずつボリュームを増す。嫌でも期待が高まる。バンドのメンバーがパラパラと登場する。3人トリオ編成だった。

そして。せぶいれのふたりが姿を現した。

オープニングは「Asayake」。一度しか聴いたことがないけれど、すぐにAsayakeだと分かった。シューくんとタカシくんだ。本当に歌ってるんだ。ペンラが揺れる。私は右手にチャコールのペンラを一本だけ持っている。前方の席のペンラを見ながら一緒に振る。ああ、始まったんだ。二人の声がすごく近くに感じる。

続けて「Call My Name」。大好きな曲だ。一生懸命練習したサビの振りを一緒に踊る。

”共に挑む仲間がいればどんなゴールもいけるでしょ?”

その仲間にもちろん私達も入ってるんだよね。

あ!(とシューくんが)kind of loveと続く。なんてキラキラしてるんだろう。タカシくんにとってはつらい思い出があったかもしれない曲だけど、今はシューくんと二人で歌っている。タカシくんの明るい声が逆に胸を詰まらせる。いろんなことを乗り越えた二人が今ここで二人で歌っていて、私はここにいて。全部偶然が重なったのかもしれなくて、でもやっぱりこれは運命で。

”僕らなしでも世界は必ず回り続ける それでもね 僕には君が必要なんだよ”

必要という言葉の重みが迫ってくる。そうだよ。もうあなたたちは私にはなくてはならない人なんだよ。

「座ってください」

「Thinking of You」へと続く。緩急のある流れるようなセトリ。感情があちこちに揺さぶられ気持ちが全部持ってかれる。ボーカルが際立つ。高音が伸びやかで美しい。でもこの曲の一番好きなのは"like a moon like a moonlight"のところ。低い音を二人が交互に歌う。抑え目な声の方が感情が漏れ出るように思えてグッとくる。ステージの上に月が出てるんじゃないか、思わず探してしまった。

「UNKNOWN…」。イントロが始まった時、声にならない悲鳴が聞こえた気がした。きっと大切に思っている8号車さんが多い曲なんだろう。私は聴いたことがなかった。正直に言うとあまり覚えていない。曲を知らないと細かいところは記憶に残りにくいのだろう。ただ、二人の声に圧倒されたのは覚えている。

続けて「クレッシェンド」。シューくんが超特急募に応募するきっかけとなった番組で歌われていた曲だ。超特急の10周年を記念して作られた曲で最初からタカシくん一人で歌っている。この曲を二人で歌うのをどうしても聴いてみたかった。きっとこれは超特急から8号車へ向けた曲なんだと思う。でも、私にはタカシくんとシューくんがお互いに向けて歌っているようにしか聞こえない。二人の旅は始まったばかり。これから未来へ大きくひろがっていく。次は9人でのパフォーマンスで聴いてみたい。

ここで二人の出会いから今までを振り返る動画が流れる。羽田の時と内容が違うらしい。出会って最初はよそよそしくてソファの端と端に座る二人。お行儀よく挨拶するシューくん。一年後の今はだいぶ雰囲気変わっている。一年でこんなに打ち解けられるものか。会場は爆笑に包まれる。私も爆笑。面白風に作ってあるけど、距離感の絶妙さが出てる。同じ方向を向いて同じ速度で手を取り合って歩いてるんだもん。当たり前か。二人が愛しくて仕方ない。

超特急のデビュー曲であり、シューくんとタカシくんが二人で初めてレコーディングした第二のデビュー曲と言ってもいいと思う「Re-TRAIN」。ステージは暗転し鮮やかなライティングで彩られる。お腹に響くような力強いボーカル。生で聴くからなのか、それとも二人の進化か。両方だと思うけど、新世界の円盤で観るより数倍も力強く、迫力に満ちている。ステージをぐるぐる回るライティングはメンバーカラーだ。ステージの上にはボーカル二人しかいないけど、確かに超特急のパフォーマンスだった。いや、かっこよすぎるでしょ。他になんか言いようありますか。

今回のライブをするにあたりシューくんがどうしても歌いたい曲として紹介されたのは「FLASHBACK」。加入間もない頃タカシくんが「これ、絶対シューくん好きやと思う」と言ってくれた曲だという。タカシくんがそう言ってくれたからシューくんにとって特別な曲で、だから絶対せぶいれのうたで歌いたかったんだよね、きっと。「聴いてみたら、やっぱり好きだった。」

タカシくんも歌いたい曲を提案する。「超特急にはこんな大人っぽい曲もあります」「Whiteout」。どちらも初めて聴いた。「UNKNOWN…」もそうだが、あまり覚えていない。だから何も言えない。オリジナル音源を聴き直すつもりはない。私にとって超特急のボーカルはシューくんとタカシくんの二人だ。今回のライブの音源をまた聴く機会があれば思い出す感情もあるかもしれない。9人でパフォーマンスする時はまた違った顔を見せるだろう。その時が楽しみだ。

ドラムスとベースの強い音が鳴り響く。「なんの曲か分かった人いる?」ちらほら手が上がる。え、なんでわかるの?全然わからん。…宇宙ドライブ!なんでわからなかったのか。めちゃ好きだ。毎日のように聴いてる。今日新幹線の中で夫がアラームの設定をオフにし忘れて車内に鳴り響かせた曲だ。さっきしっとりとした曲を聴かせた後にこれだもん。やっぱ振り幅重要だよね。後ろに誰もいないのをいいことに激しく踊ってしまう。一緒に踊ると楽しい。サビを何度も繰り返す。「まだまだ終わらないよ!」と煽ってくる。いいねえ。こういうの大好きだよ。最後の決めポーズは二人仲良く並んで。9人の時より二人の距離が近い。せぶいれのうただからね。

アカペラで始まった。「君と、奏で」。私は今驚いている。聴いたことがなかった。9人以前の曲だと思っていた。B9に収録されているんですね。今知りました。私が購入したのは初回限定版。通常盤に収録されている曲だ。知らない事まだまだたくさんあります。二人の声が美しく、聴き惚れてしまう。歌に力がある。二人とも声が厚みを増した。シューくんの声はより丸みを帯び艶やかに響く。タカシくんはより奥行きを増し、高音の透明度が増した。最後に8号車さんがlalala…と歌うのが素敵だった。私は知らなかったので一緒に歌えなかった。あとで聴いてみようと思う。

終盤に差し掛かる。「My Buddy」は大盛り上がり。一緒に踊りペンラを振るのが楽しい。ラスサビ。新世界では”君はMy Buddy"のところを“シューヤはMy Buddy"と歌って8号車とシューくんを喜ばせたタカシくん。当然今回もそう歌ってくれると期待していた。でも、そこは何も歌わなかった。シューくんは歌詞のとおり”Forever my buddy”と歌っていた。タカシくんはどうして何も言わなかったんだろう。わざと?とっさに浮かばなかった?

私は毎日のように新世界のMy Buddy”を聴いてるから、当然シューヤは…と歌ってくれると思ってたけど、タカシくんは覚えていないのかもしれない。そこは自分のバディを思い浮かべてもらいたかったのかもしれない。新世界の時はシューくんと一緒に歌えるのが嬉しくて楽しくて、世界中に自慢したかったからそう歌ったのかもしれない。今はあえて口に出さなくても、二人はバディだ。きっとそうだよね、タカシくん。

「Burn!」も引き続き大盛り上がり。大好きな曲だけど、実はダンスパフォーマンスを見たことがない。"僕は逃げないよ 諦めたくはないから”「諦めない」は超特急のキーワードだ。諦めない人たちだからずっとついていきたいと思うんだろう。バッテンダンス楽しい。なんでペンラ一本しかないんだろう。次はもう一本持ちたい。

「こんな大きい会場で2人でやるの心細くて。実はメンバー連れてきてるんです」

え!って会場の誰もが思ったはず。カメラが写したのはステージに貼られた他のメンバーの写真だった。こういうことするとこ、ほんと最高。最前列ってこういう仕掛けが見えちゃったりするけど、どうだったんだろう。

本編最後の曲は「Synchronism」。シンクロする、というのも超特急の楽曲によく出てくるワードだ。ダンスの同調性は超特急の生命線といってもいい。ボーカルの同調性って何だろう。似ている声の方が同調性は高いのだろう。シューくんとタカシくんの声は全然違う。でも二人がユニゾンで歌うと、声は厚みを増し心地良く響く。異なる旋律を歌うと、声は幾重にも重なりどこまでも広がりをみせる。1と1を足して2になるのではなく、数えきれないほどの楽しさと切なさと可能性を持つ。二人の声は違うけど、違うからこそシンクロした時に感じる無限の可能性が尊く感じるのかもしれない。

アンコールを呼ぶ声はせぶいれコール。会場の一体感が心地よい。

アンコール一曲目は「gr8est journey」。羽田公演のレポかなにかで写真を見ていたので、この曲が披露されるのは知っていた。でもなんだか鳥肌が立ってしまった。ドラマチックな曲展開。どこまでも熱く未来へ向かう歌詞。サビのダンスとペンラ芸。楽しい。横綱相撲的な(ちょいちょい相撲挟んでしまってすみません)。MCでタカシくんが言っていたように超特急募の最終審査で2人で歌った曲だ。2人にとって大切な曲。あの時タカシくんは「目の前にアリーナやドームが見えた」と言っていた。その時より磨きをかけて、輝きを増して私達の前で歌ってくれた。今日はダンサーがいないので、今の立ち位置は「あの時と同じ距離感」と言って会場を笑わせていた。でも、あの時2人の間にあった壁はもうとっぱらわれてた。2人の距離感はあの時とは全然違う。

そろそろ撮影許可の時間かな。羽田公演では「Yell」が撮影可だった。SNSで拡散されていたのを目にした。今回は多分違う曲なんだろうと予想していた。「あの曲」だと思っていたけど違った。

「それでは聴いてください。refrain」タカシくんが曲名を告げると歓声があがった。そう来たか。そりゃそうか。YouTubeで配信された時と同じジャズのアレンジ。同じではない。ジャズの特徴である即興的なアレンジ。同じようにはならない。今日だけの特別な一曲になる。スマホを掲げ撮影準備OK。私のスマホはバッテリーが15%しか無かったので、夫のスマホを借りて撮影する。撮りたい。後で何度も見返したい。今日この場所に来られなかった人に見てほしい。でも、自分の目でちゃんと観たい。スマホで撮影しながらスマホの下から見る。Aメロはシューくんが歌う低い音から始まる。Bメロからはハモって音が広がりを見せる。サビは2人が交互に主旋律を歌う。どうしてこんなに心を揺さぶられるんだろう。プレミア配信の時は切ないはずの曲だけど、楽しそうに聴こえた。今日の「refrain」は楽しそうに歌ってるんだけど、離れ離れになる切なさや相手を愛しく思う気持ちが伝わってくるような気がした。

イカナイデ” シューくんちょっと声が掠れている。”ダイスキダヨ”タカシくんと目を合わせて一息でのびやかに歌いきる。ステージのモニターに映し出されたシューくんは嬉しそうな楽しそうな、ちょっとドヤ顔をしていた。どう?僕らの歌。とでも言いたげに。(余談だが、家で聴いている時はここで必ず「俺も好きーー!」と叫んでしまう。でもさすがに今日は自粛。心の中で叫ぶに留めた。)ラスサビのフェイクは耳の奥まで震わせる。歌ってる時ってどうしてこんなにかっこいいんだろう。シューくんのファルセットから二人目を合わせてのフィニッシュ。この曲では目を合わせる場面が多かったな、と思った時、今日はそんなに目を合わせる場面多くなかったかも、と思い至った。ライブを見返すと実際はどうかわからない。でもこの時そう思った。いちいち目を合わせなくても心が通じあっている。そんな気がした。

そのままラストの「Yell」。この曲はウエディングソングなのだが、2人の澄んだ歌声と幸せに満ちた笑顔を見ると、これからもずっとせぶいれとして歌っていく覚悟を決めた2人を祝福しているようにしか思えない。会場をキラキラの渦に巻き込みすべての楽曲をパフォーマンスし終えた。

「せぶいれとしての活動もすべて超特急に還元したい」シューくんはそう言った。せぶいれは超特急ありきの活動だと。でも、こうも言った。

「2人でアリーナ立つぞ!」

びっくりしないよ。きっと2人ならできる。その日も必ず、同じ空間にいたい。ずっとせぶいれと、そして超特急と走っていく。

そう覚悟を決めた。

 

ライブが終わると夢の跡。ぞろぞろ会場を出て、また8号車さんと少しお話しする。今までいろんなライブに参戦してきたけど、こんな風にみんなといつまでも語り合えるなんて初めてだ。時間がない。名残を惜しんで皆さんと別れた。再会を誓って。

興奮して眠れない夜を過ごし、翌日は聖地巡礼や買い物に回る。こんなに睡眠時間が少ないのに、よく平気だな、と自分でも不思議だ。これが噂の超特急効果か。

夕方発の新幹線で帰路に着く。地元に帰れたのは夜も更けたころ。東京と違って寒い。ああ、もう終わってしまったな。そう思った時、ホームに駅員さんの声が響いた。

「ご乗車ありがとうございました」

一日中電車に乗っていたはずなのに、この時だけやけにはっきりと聞こえた。

「おつかれさま」と言われたような気がした。



 

自分でもびっくりするくらい長くなってしまいました。ここまで読んでいただきありがとうございます。初乗車を終えた時のレアな気持ちを記録したいので、あまり文章も練っていませんしそんなに読み返していません。おかしなところがあったらすみません。そういうおかしなところも含めて、初乗車を終えた今の気持ちなんだと思います。