沼に堕ちて~TIME前まで

                                            

多くの8号車の方に賛同いただけると思うのだが、MORA MORAの破壊力は凄まじい。私はたちまち超特急の、そしてMORA MORAの虜になった。何度も繰り返しMVを見る毎日。自分でもよく飽きないなと思うが飽きない。何度見ても見るたびにカッケーと思う。だって曲はカッコいいし、MVはすごくカッコいいし、ダンプラは普段着っぽくて好きだし。むしろ他の曲見たくない。MORA MORAしか好きじゃない。という訳の分からない心境になっていた。

しかし転機はいつだって突然現れるものだ。

ある日、9人体制になってからの新曲だというCall My Nameが気になった。ダンプラを見てみた。ダンプラはダンスと全体のフォーメーションが見られるので好きだ。

何これ。MORA MORAと全然違う。

もう一度見た。

そうか、超特急ってこういうことか。

明るい曲調。ギリギリ一緒に踊れそうな難易度のサビの振り付け。9人で踊ってるのに、ものすごく揃ってる。ハイトーンボイスが耳に心地よい。それに曲がすごくいい。背中を押してもらってるような、超特急が自分を後ろで守ってくれてるようなあたたかい気持ちになる。目を惹きつける吸引力がすごい。それにたくちゃんセンターだし。笑顔炸裂。可愛いすぎか。

あっさり気に入る。

なるほど振り幅ね。振り幅大事だよね。

この時私はまだ、もっと振り幅がすごい曲があることを知らない。

それからはMORA MORAとCall My Nameを7:3くらいで見ていたと思う。YouTubeもちょこちょこチェックしていた。超特急のファンは8号車と呼ばれメンバーの一員であること、ライブに行くことを乗車するということ等を徐々に知る。

8号車かあ。なんかいいな。私も8号車って言っていいのかな。

前章でも触れたが私に許された時間は昼休みの20分程度だけ。一度にたくさん見られない。MORA MORA見たいし。そんな中またもや気になるワードが。

超えてアバンチュール

どう考えても面白いに決まってる。これは見るしかないよね。えい、再生。

………マズい。きっとものすごく好きなやつだ、コレ。

別にマズくも何ともないのだが。例えるならば、チェリまほの第9話で社内コンペに応募するのを決断できたのは黒沢のお陰だと微笑む安達をしっかりと抱きしめた黒沢が心の中で呟く。「ああ、もうずるい。これ以上好きにさせてどうしようっていうんだよ。」の時の黒沢の気持ち。今でも事あるごとに黒沢は降臨するのだが、最初に現れたのはこの時で間違いないと思う。

できるだけ言葉を詰め込んだアップテンポの曲調。一見意味がわからなそうで実は深い歌詞。曲が長い。ダンス激しい。ヘドバン。変顔。……好きな要素しかない。ライブでこの曲を狂った様にコールし激しく踊る自分を簡単に想像できた。

ライブ行ってみたいな。

年末にアリーナツアーがあることは知っていた。だが、この時点でチケットはもう取れない。(一般販売やリセールはあった)それに仕事の都合もあり12月は家を空けることはできない。今回は諦めるしかない。

超特急のメンバーの年齢を考えても8号車さんは若い女性が多い事が予想される。私もこの歳になるまで数多の現場を踏んできた身だ。なにも怯む事はない。でも若い女性の中に熟年の自分が一人で乗車するのは少々気が引けた。

ところで、11月24日はたくちゃんの誕生日だ。たくちゃんに相当心を奪われていた私はメンバーの個人ファンクラブであるキラリに入会した。たくちゃんのは「たくやのほうれんそう」会員はおひたしさんと呼ばれる。バースデー配信が見たかった。なんで「ほうれんそうのおひたし」かと言うと、実にたくちゃんらしい理由があり、私はますますたくちゃんに惚れ込むのであった。キラリの中の事なので、ここではその理由は伏せておく。

トピを見ると同じくらいの年代の人がけっこういるようだった。それぞれのペースで推し活していて何となくゆったりした空気感。いいな。私も仲間に入ってみたい。数日逡巡した挙句、思い切ってトピに話しかけてみる。あたたかく迎えていただき、コメントをやり取りする。8号車さんは皆さん優しい。極度の人見知りでコミュ障の自分がこんな事できるなんて驚きだった。たくちゃんに背中を押してもらった気がした。

メンバーの誕生日を記念した生誕グッズも販売される。これは超特急のファンクラブである「夢の青春8きっぷ」略して夢8に入会しないと購入できない。次のライブのチケット取る時も絶対ファンクラブに入っておいた方がいいに決まってるよね。どうしよう。どっちにも入るなんてちょっと迷う。

私は静かにひとつの決断をした。やっぱり夢8に入ろう。生誕グッズほしい。ライブも行きたい。後悔したくない。

晴れてダブル会員となる。

みなしょーの円盤を買ったばかりということもあり超特急の円盤を買うことを躊躇していたのだが、こうなったらもう気持ちは止められない。11月29日に新しい円盤がリリースされるらしいが、新曲のCDが欲しかったし、5人での最後のライブを観たかったし、超特急募も気になる。超特急の歴史を少しだけ遡りたかった。迷わずB9をカートに追加。ところが同じような考えの方が多いのかメーカー取り寄せですごく時間がかかり、結局購入先を変え、手元に届くのに3週間くらいかかってしまった。

B9を待っている間にテレ東の音楽番組に出演したり大阪で行われたフェスに出演した時のライブ映像がTVerで配信されたりしたのを見る機会があった。LessonⅡのパフォーマンスを初めて見たが、フォーメーションもダンスも想像を超えるカッコ良さ。カメラワークも素晴らしかった。たくちゃんの最後の決めポーズ。その表情の妖艶さに息を呑んだ。MVもいいけどやっぱりライブを観たい。改めて強くそう思った。

夫には、私が超特急を推していることを否定はしないが自分は超特急には興味ないので自分の前で曲をかけるな、と言われていた。食わず嫌いだ。なんとかして見せたい。超特急の良さを知って欲しい。テレビで見るから少しだけ時間ちょうだい、という手を使いまんまと夫にも見せる事に成功した。私があまりにも熱心に推しているので少しは気になっていたのだろう。わりとあっさり見てくれた。見終わった夫は一言「良かったよ」と言った。なんだか嬉しかった。

B9を待っている間だったと記憶している。12月10日のぴあアリーナMMのライブが生配信されるというニュースが飛び込んできた。私は叫んだ。比喩ではなく、本当に叫んだ。ライブを生配信で観られるなんて。こんなご褒美いいのか。

ところがその日は陸上の1万メートルの日本選手権がある(夫も私も陸上長距離が見るのも走るのも好きなのです)。パリ五輪の選考大会になっており、夫が実業団で一番推している旭化成の相澤晃選手が久しぶりに走ることになっている。その上、学生(当時)長距離界ナンバーワンの田澤廉選手が日本記録に挑む予定で、夫は何か月も前から楽しみにしていた。私だってそうだ。

だけど今は超特急が見たい。時間は完全に被る。

アーカイブあるし、あとで観ればいいか。こういう時、私は自分の要望を優先しない。子供の頃からそうやって生きてきた。今回もそうしようと最初は思った。

でも。本当にそれでいいの?せっかくライブの時間を超特急と8号車さんと共有できるのに。戦う前から土俵を降りていいの?(なぜ相撲なのかは突っ込まないでください)

思い切って夫に生配信を観たいと言ってみた。すると夫は「1万メートルは録画で見ればいいし、生配信を観よう。しょうがない、超特急見てやるよ。」と言ってくれた。超特急に冷ややかなスタンスを貫いていた夫だったが、多分この時けっこう興味を持っていたのだと思う。

良かった。最初から諦めてちゃだめだな。また超特急に背中を押されたのだった。

こうして12月10日15:30に私と夫はテレビの前に座った。夫の前にも水辺が広がりつつあった。

TIMEを観た時のあれこれは、また機会を改めたい。

 

※一部加筆・修正しています。

 

大変長くなってしまいましたが、ここまで読んでいただきありがとうございました。